世界のかもしかNEWS
2003年4月12日

◆ 絶滅危惧種の未来
春、カモシカの仲間たちの出産ラッシュもそろそろ始まりますね。
先陣を切って3/18に多摩動物公園で元気なゴールデンターキンの赤ちゃんが生まれました。これから続々と各地から赤ちゃん誕生ニュースが発表されることを心から願っています。

誕生といえば、気になるニュースがありました。
4/8ロイター通信が、サンディエゴ動物園、アイオワ州立大学、米バイオ企業などの共同グループが、絶滅の恐れがある東南アジア原産の野生牛「バンテン(Bos javanicus)」を、20年以上冷凍保存されたオスの体細胞から細胞核を取り出し家畜牛の未受精卵に移植するというクローン技術で再生させた、と報じました。バンテンの皮膚細胞はサンディエゴ動物園が1980年に死亡したバンテンから採取し冷凍保存していたのだそうです。
そして4/1に2頭のバンテンが生まれました。2頭の遺伝子は細胞を採取したバンテンとほぼ同一でした。2001年にガウルという野生牛で試みたときは数日で死んでしまったのですが、今回は2頭いずれも元気で、食欲がおう盛だと報じられました。
しかし、2頭のうち1頭は通常の1.6倍の36kgもの体重があり、自力で立ち上がることが困難だったため8日に安楽死させた、と、米・サンディエゴ動物学協会などが9日に発表しました。
残りの1頭の体重は正常で、健康に育っているそうですが、クローン動物の巨大化については他にも数々の報告例があるようです。

サンディエゴ動物園では絶滅危惧種の保存に力を入れ、絶滅寸前のものを含む各種動物の種を凍結し保存する、通称「冷凍動物園」計画を進めているのだそうです。
種の冷凍保存、クローン技術による再生。これらの技術が確立されれば地球上のすべての生物の「絶滅」は防止されるわけです、理論上。
それはそれで意味のあることで、クローンの研究や技術の向上に関して断固反対な意見を持つ気はありません。
ただ、単に種は再生できても、その種が生きていくための環境が地球上に残っていなかったら本末転倒、なんのための再生なんでしょう。
再生のための再生?動物見本としての再生?新種を作成するための再生?
ある動物が現在この地球上に、何万年もかけて環境に適応し進化して存在するという事実をナメてもらいたくないのです。
まず前提に「絶滅しちゃったら再生させればいいじゃん」てな話ではおさまらないのだという認識を人類は持たなくちゃいかんと思うのですよ。
動物を絶滅させないこととクローン技術の開発はあくまで別の次元で考えていただきたいなと。混同して思い上がった人間が増えないよう気をつけなくちゃいけません。

かもしかの仲間たちも多くが
「絶滅の恐れのある野生動物」に指定されています。
※国際自然保護連合(IUCN)の2000年度レッドリストより
 CR=絶滅寸前種 EN=絶滅危惧種 VU=危急種 LR=準危急種
チルー=EN
サイガ=EN
ゴーラル=LR
ニホンカモシカ=LR
シーロー=VU
タイワンカモシカ=VU
シャモア:コーカサスシャモア=VU
     タトラシャモア=CR
     アペニンシャモア=EN
ターキン:ゴールデンターキン=EN
     チベットターキン=EN
     スーチョワンターキン=VU
     ブータンターキン=VU


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